なぜ特定の島では犬を飼ってはいけないのか? 続き1
以前から気になっていて、
>>78では『なぜ特定の島では犬を飼ってはいけないのか?』と独自に考察してみた。その続きに触れたい。
>>28で長崎県松浦市の『青島』を取り上げたのは記憶に新しい。この島も犬を飼うのがタブーであった。
>>104〜
>>107で言及したように、古来より『青島』と冠する島は死者の埋葬地として機能していたというのが通説のようだ。
だとすれば遺体を掘り返される恐れから、犬を飼うのは忌み嫌われたというのもこれで合点がいく。
同じようにこの題目に言及した論文を見つけた。それが野地恒有氏という民俗学者が発表した『移住開拓島の民俗学ノート(一)』である。
僕とは異なる発想だが、うなずける部分もある。その部分を引用してみよう。アンカー部分がソレ。
>犬をつれて行くことを禁忌とする島がある。柳田国男はその本源的な理由として、猫の敵だとする以前にその島が葬地だったからと推測した(猫の島)。
>私は犬をつれていくというのは移住と土地占有を示す行為であったため、特別なとき以外には島に犬をつれて行ってはいけなかったのだろうと推測する。
>柳田国男の『猫の島』という一編を見てみよう。犬をつれて渡ると祟りがあるという島がみられる。
>猫のもつ神秘性ゆえに、猫の敵となる犬を忌むと説明されているが、猫の神秘性を持ち出す以前に犬を忌む戒めがあった。
>かつて島を葬地とした慣習があり、犬が葬地と人里を行き来するため、死の穢れに触れる犬を島に入れるのを忌み嫌ったのだろうと柳田は解釈している。
>たとえば宮崎県石巻市の田代島では、「犬を牽いて渡ってはならぬという戒めが前にあって、その理由がやや不明になってのちに、犬を敵とするものが島に入る、
>それは猫だという説が起こり、その猫には違反を罰するだけの、恐るべき威力があるように考えた」。
>しかし、田代島を猫の島とする以前には、島を葬地とする歴史があった。「島を開きにあとから入った人々」は島を葬地とした慣習を知らず、
>ただ犬をつれて行ってはいけないという戒めだけが伝えられて、その理由が猫に求められるようになったというのである。
>田代島の開拓前史に、島を葬地とする民俗事例があったかどうかはわからない。私は民俗として捉えられないだろうと考えている。
>ただ、柳田の『猫の島』の中で、田代島以外で犬をつれて行ってはならない島としてあげられている他の2例が2例とも、
>近代以降に移住開拓される無人島である点は興味深い。それは式根島(東京都伊豆七島)と大黒神島(広島県江田島市)である。
>柳田があげている式根島の例を見てみよう。
>式根島は「今(昭和14年ごろ)から45年前までは、まったくの無人島であった」。(式根島は明治20年代以降の移住により形成された移住開拓島である)
>無人島であったころには、「わずかな畠地があって隣の島から、ときどき耕作や木草を刈りに渡るだけだった」。
>式根島でも「猫が住んでいるために犬の行くことを忌む」と説明されていた。
>柳田は、「人家がないのに猫のいるのも怪しく、それに遠慮して犬を連れ込まぬというのはなおさら合点がいかない」として、
>「犬を嫌うという方が元で、その理由を知る者が少なくなった結果、新たにこんな単純な想像が生まれたのかもと考えられる」と解釈している。
※本文と画像は無関係です。
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