もし、本当に、死者による怨念で「呪い」という怪奇現象が起こるなら、歴史上の暴君や虐殺者などが、
まずまっさきに対象となるべきだが、実際にそんな話はない。
だいたいの場合、遊び呆けて国政がボロボロになって革命で失脚するか、戦争に負けて殺されるか、
普通に寿命で死ぬかで、具体的な怪奇現象など記録に残っていない。
仮に、例外的に、伝説的に、そういう逸話があったとしても、歴史上の虐殺者の数から考えて非常に少ない。
つまり、確率的に言っても、いくら殺したところで、ほとんど呪いは起きていないってことだ。
死者の恨みが、呪いを引き起こし、殺人者に復讐するなら、虐殺者は99%以上の確率で、
ソッコウで呪い殺されているはずなのにである。
なんでも、可能性というものを否定するのはよくないことではある。
だが、少なくとも歴史という材料から判断すれば、上記のとおりである。
ようするに、「ヒト」なんかいくら殺したって、「呪い」なんて起きないってことだ。
(補足)
ただし、現代では「呪い」については、プラシーボ効果という心理的作用で説明している。
ようするに、「やべえ!おれ、呪われている!霊に復讐される!うわぁあ!」という思い込みで、
体調を崩してしまう……それが呪いの正体というわけだ。
たしかに、それはあるだろう。
その意味では、「呪い」はないと言いつつも、「思い込みによる呪い」の効果は決して無視できない。
だが…、逆に言えば、思い込まなければ、呪いは起こらないということだ。
たとえば、虫けらを踏み潰しても、何も感じないだろう。
虫けらを殺すことを「特別視」していないからだ。
つまり、他人を殺しても、「他人を虫けら同然」として考えているならば、呪いも起きない。
良心の呵責もなく、体調すっきり、元気いっぱいである。
権力者、虐殺者、つまり、悪党には、呪いなんて関係ないのだ。
(そして、呪いだなんだと大騒ぎするのは、いつも思い込みの激しい小心者なのである)
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