『奇跡のリンゴ』という映画があります。
「無農薬無肥料栽培でのリンゴの栽培に成功した」と自称している、
木村秋則氏という青森県のリンゴ農家の物語です。
映画の公式サイトを見ると、「感動の実話」という文字が躍っています。
最初から感動を前面に押し出しています。
物語の粗筋は以下の通りです。
********
木村氏はもともと農薬を使ってリンゴ栽培を行っていたが、
妻が農薬が原因で体調を崩したことから、無農薬のリンゴ栽培を始めた。
しかし無農薬栽培はうまく行かず、収穫が全くないという状況が長年続いた。
失意と極貧の中で自殺まで考えたが、結局無農薬栽培に成功し、一躍有名になった。
現在は無農薬・無肥料栽培を普及させるべく、全国を飛び回る日々である。
木村氏がこれまで信念を貫き通せたのは妻をはじめとする家族や周囲の人間の
支えがあったからこそである。
********
早い話が、農業の名を借りた「感動の人間ドラマ」です。
また、全ての発端である書籍について、担当編集者は以下のように語っています。
「実は農業本として出しているつもりはないんです。
この本のテーマは“困難にぶつかった時、人はどう乗り越えていくか”
であり、その普遍性が共感を呼んだのではないでしょうか。
またこの本は木村氏に対する賛否両論を取り上げて、
業績をジャーナリスティックに検証する本でもありません。
あくまでも木村氏という対象に寄り添って、
成し遂げた部分にスポットライトを当てたかったんです」
この説明を要約すると、以下のようになります。
「事実かどうかなんてどうでもいい。何も考えずに感動しろ!」
返信する