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続・怖い島・いわくつきの村


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207 2015/06/06(土) 12:05:35 ID:DsCZtogHuM
     五芒星セーマンの魔除けを信じる海女の島 菅島(すがしま) 1

ちょっとここで日本の島に軌道修正。
2016年に開催されるサミットが、三重県志摩市に選ばれ、同県出身者としてはたいへん誇らしい。
主要会場として賢島(かしこじま)が予定されているので、賢島の話でもできれば御の字なのだが(『怖い島』という括りは失礼?)、
あいにく興味を惹くエピソードは見当たらない。
そこで賢島を抱える志摩半島の反対側、伊勢湾の入り口に位置する菅島を取り上げようと思う。
もっとも賢島は志摩市に対し、菅島は鳥羽市だが。なんという暴投ぎみの変化球……。まあ、同じ三重の離島ではないか。

菅島の主産業は伊勢海老、アワビ、ワカメなどの漁業と、民宿、旅館などの観光業が主。とりわけ海女によるアワビ漁で知られている。
その海女というと、毎年7月11日、白浜(しろんご浜)で行なわれる『しろんご祭り』が、学術的に注目を浴びている。
700年ほど昔、菅島に現れた白蛇を竜神の使いと崇めて、大漁と海上安全を祈願したのが始まりとされている。
朝8時、しろんご浜に磯着姿の海女が集まり、神主によるお祓いを受けたのち、法螺貝の音を合図に海女が海にもぐり、つがいの鮑の初採りを競うもの。
一対の鮑を最初に採った者が海女頭となり、1年中尊敬の対象となる。
ふだん、白浜は禁漁区であり、この日の1時間のみ漁が許され、獲られた鮑は『招き鮑』と言われ、菅島にある白髭神社に奉納される。
この『白髭』も『しろんご様』を指し、すなわち守護神である白髭大明神、竜神大明神のこと。
なお白髭神社に関しては、当スレ>>95>>96で触れたので、気になるようならソチラで。

海は豊な幸を与えてくれるが、反面、天候によっては急に荒れ、人食い鮫が出没する死と隣り合わせの世界。
『板子一枚下は地獄』の船乗りでさえ験を担ぐ。だったら海に潜る海女もしかりであろう。したがって菅島ではこんな伝説が信じられるようになった。
曇った日の海で、海女が1人で鮑採りをしていると、海底で自分とソックリな姿の海女と出会う。息継ぎするべく水面に上がり見回してみたが、誰もいない。
そのドッペルゲンガーは『トモカヅキ』と呼ばれる妖怪だという。もし妖怪が差し出す鮑をもらったり、よい漁場へと誘うのについていったりすると、
潜水時間が長くなり、命を落としてしまうのだとか。
だから海女たちは、手ぬぐいや鮑おこしという道具に『ドーマン』『セーマン』の印をつけ、まじないとした。
とくに陰陽師の安倍晴明で知られる五芒星のセーマンは、一筆書きで元の位置に戻り、始めも終わりもないことから魔物が入り込む余地がないとされ、
同時に一筆書きで元の場所に戻ることから『無事に戻って来られるように』との祈りを込めた。

トモカヅキとは、『同一の潜水者』の意味で、『かづく』(潜く)とは『潜水すること』を意味する方言であるとされている。
他方、海女の亡霊ではないかともいわれるが、医学的見地から見て、過酷で長時間の海中作業による譫妄との見方もある。
そんななか、静岡県賀茂郡南崎村(現・南伊豆町)でも同様の事例が報告されている。ある海女がこれに遭遇し、海面に上がって船を操る夫に言うと、
「バカなことを言うな」と、相手にされずにふたたび潜らされ、そのまま死んでしまったとも……。

なにはともあれ、しろんご祭りは市指定の無形文化財である。
ちなみに三重の『海女操業実態調査』は4年に1度行われる。1996年11月のデータによると、志摩市だと海女は2100人を超える。
昔に比べると減少しているが、それでもこれほど多くの海女を抱えるのは志摩だけであろう。

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