そう、あのときの夜も雨がふっていた。
私はあれ以来、夜の雨が怖い。雨の降る夜は自宅の鍵を全て掛けて外へは出ないようにしている。
・・・闇の中、長くしつこく続く雨音で、響子(17・友引高校・処女)は目を覚ました。長い黒髪が魅力的だ。
「酷い降りだわ」
響子(17)はベットから出ると窓の外を覗いて見た。
「!」
そこには、真っ赤な返り血を浴びたガチャピンが、片手に出刃包丁を持ち佇んでいた。
響子は、その ガチャピンを家に招き入れガチャピンを母親に紹介した。
母親は、直ぐに風呂の用意と食事の用意に取り掛かった。
ガチャピンは緊張しながらスキヤキが食べたいと申し出た。
「スキヤキだと・・・?」
母親は、まるで汚物を見るような目でガチャピンを睨みつけた。
その場の空気が凍りついた。だが、母親は
「今時のガチャピソは黒いユーモアが過ぎるわ(笑」
とガチャピソのいる脱衣室の扉を閉めた。
響子の家は有名ホラーゲームに出てくるような古くからの大きな洋館なのだ。
重厚な扉の向こうからガチャピンの叫び声が聞こえた。
ガチャピン「うおぉーーーー止めろーー」
母親 「ダメよ動かないで!」
ガチャピン 「アァーーーーーー!?」
母親 「ふふふ」
ガチャピソの皮膚の下を何かがうねっている。響子の母・琴江は寄生蟲の卵を紅茶に混ぜて飲ませていたのだ。
響子の母・琴江により寄生蟲の卵を植え付けられて只でさえ大きな顔がその倍以上に膨れ上がる!
得体の知れない体内の蠢きに、ただでさえパニック状態のガチャピソの耳には琴江の声は届かなかった。
ガチャピソは一旦、落ち着きを取り戻したかのように静かに立ち上がって、こう言った。
決して周囲が呆れるようなくだらない言葉ではない、恐ろしい一言だ。
「スキヤキはまだですか?」
琴江は呆然とした。「何故、身体を乗っ取れなかった?」
ガチャピンは大降りの雨が降る中、足早にスーパーへ向かった。それがガチャピンの最期の姿だった。
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