善行した家だけが残された 翁島(おきなじま)
福島県の猪苗代湖の西北部に位置する湖上の無人島。それが翁島である。
気になるのは翁島という名前の由来。長年、この地に老夫婦が住んでいたことから名付けられたとも言われている。
19世紀のはじめに編纂された『新編会津風土記』には、この島に長年老人が住んでおり、『翁明神』という祠があったことや、
重想なる真言宗の僧が『室生寺』を建てたという話、元和年間に興海という僧がこの島に暮らしたことなどが記されている。
それ以外にも、こんな伝承が残されている。
ある日、このあたりに住む機織りの娘の家に、旅の僧(一説によると、弘法大師だったとも言われる)が立ち寄った。
「あまりの暑さに難儀しております。どうか一杯の水をめぐんでくださらんか」と言った。
しかし機織り女は、「このへんは水不足で、とてもあんたみたいな旅人に飲ませるほど余裕はないね」と、愛想ない返事。
しかたなく旅僧は別の民家を求め、重い足取りで歩いた。しかし訪ねた先の村人に、ことごとく拒まれてしまう。
村はずれにさしかかると、身なりの貧しい女が小川のそばで米をといでいた。
「米のとぎ汁でもかまいません。どうか水を一杯おめぐみください」と、旅僧は声をかけた。
女は快く、「さあ、お飲みください」と言って、自分の大切な飲み水を飲ませてくれた。
「思いやりの心を忘れないあなたには、きっと幸運が訪れるだろう」僧はこう言い残して村を去っていった。
僧が去って3日後、磐梯山が噴火し、大地震が村を襲った。
最初に意地悪した女の家をはじめ、村が湖の底深く沈んでしまった。ただ1軒、貧しい女の家は沈むことなく島として残った。
娘の名を『おきな』といい、これが今の翁島となったのである。
翁島の由来
http://www.kuniomi.gr.jp/togen/iwai/okinasim.htm...
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