女傑サンアイ・イソバ
16世紀初頭、与那国島は当時女性の人口が多く『女護ヶ島』と呼ばれていた。
しかしながら人頭税に苦しめられた島人はやむを得ず、
間引きするための『久部良割』や『人枡田』という残忍な人口制限が行なわれたのは
>>23>>24で知っての通り。
この悪習を止めさせ、平和な島を取り戻させたのが女傑サンアイ・イソバその人だった。
イソバは身の丈180センチ以上もある巨体でありながら、知恵と勇気を兼ねそろえていた。
彼女には4人の男兄弟がおり、自身は島中村で、弟たちは浦野、ヤデク、与那原に、
それぞれ按司(酋長)を務めていたが、他の村にも酋長たちがいて、たがいに牽制しあっていた。
ある日、あの残酷な人枡田のドラが打ち鳴らされた。
島人たちは、ドラや法螺貝の合図とともに、人枡田へ死に物狂いで目指すしかない。
やがて人枡田から人があふれ出て、蛮刀で斬り殺されようとした。
そのときイソバの制止の声がかかった。イソバ兄弟とその部下たちは、
イソバの号令のもと、人枡田を監督している酋長たちに斬ってかかった。
奇襲された酋長たちはもろい。ほとんど反抗されることなく片がついた。
島人たちは何事かと唖然としているところで、イソバは一同に語った。
「みなさん、わたしは島を救うために今日のこの挙兵に出ました。人枡田や久部良割は残忍きわまる悪法です。
今日限りでこの野蛮な行事を廃止し、明るい平和な島にしましょう。わたしとともに、新たな国を築くのです!」
これを聞いて、島人は、はじめてイソバが救世主であることを知ったのだった。
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