>>83 韓国の旅客船セウォル号沈没事故に関連した海神神社の件ね。今回は見送り。
実は同じ対馬でも、その海神神社の近くに、『白鬚明神』なるモノを祀った謎の祠があるとの情報をつかんでいる。
個人的にはそっちの方に好奇心が動く。またの機会に書くわ。今日は海難事故に関した話をば1つ……。
漂流者にとって島の先住者・長平は鬼として映ったか? 鳥島(伊豆鳥島) 1
あなたが乗っていた船が大時化に遭い、あてどもなく漂流したものと仮定する。
風雨が荒れ狂い、波頭が艫(とも)にぶつかり、潮の飛沫で船内が水浸しになる。船の機能の大半が破壊された。もはや舵は利かない。
食料や飲料水も波にさらわれるか、数日もすればあなたの胃袋に消え、蓄えが底を尽く。
猛烈な渇きを憶え海水を飲もうとするも、あまりの塩辛さに嘔吐する。それでものどを潤したくて、しまいには自身の小便を飲むようになる。
10日間、漂流し続けた。船がどこへ向かっているのか知る由もない。
死にたくない。とにかく飢えと渇きを解消しなくては。
船が進むにつれ、お椀を伏せたような青い島影が見えてきた。あなたは飛び上がらんばかりに歓喜するに違いない。
当然、島に上陸したいと思うはず。潮流の影響か、徐々に島に近づく。これはラッキーだ。
やがて島のなだらかな丘稜がはっきりと見えてきた。その丘に、なんと1人の人間が立っているのがわかった。
あなたは俄然喜ぶだろう。どうやらその島は有人島で、人が住んでいるのならば、インフラの設備が整っているに違いないと踏む。
とすれば食べ物と水にありつける。
船はさらに島に迫る。
あなたは眼を凝らす。おかしい……。それもそのはず、その人間は異様な姿をしているのだ。
それは男であるのは確かだ。ただし、ざんばら髪がだらしなく風になびき、ヒゲが伸び放題、皮膚は赤黒く日焼けし、
白い羽で編んだ蓑(みの)のようなものをまとっている。しかも目つきが尋常でない。ギラギラとした険しい光を放っている。
腰には毛をむしって乾燥した鶏みたいな物体がぶら下がっており、手首には貝をつなぎ合わせて作った数珠のようなものが巻かれている。
まるで野蛮人だ……いや、あれこそ鬼かもしれないと、あなたは直感するだろう。
男は片手で拝むポーズをとり、眼をつむって何やら念仏のようなものを唱えている。
……東京都直轄である伊豆諸島の1つである鳥島(国内には無数の『鳥島』があり、他と差別化するため『伊豆鳥島』とも呼ばれる)は、
八丈島の南約300km、小笠原諸島聟島列島の北約370kmに浮かんでいる。過去に何度も噴火した火山島でもあり、水源なども皆無に等しい。
よって、およそ人が住むには適していない。
島は現在でこそ無人島だが、かつての遺構が風雨にさらされたまま佇んでいる。それが気象庁鳥島気象観測所である。
観測所は昭和22(1947)年に開設され、島に生息する特別天然記念物に指定されているアホウドリの保護プロジェクトが行われてきた。
昭和40(1965)年の群発地震による避難まで、18年間、職員が駐在していた。あまりのアホウドリの数から、鳥島と冠されたのはムベなるかなであろう。
その後も昭和56(1981)年から、環境庁(現・環境省)によるアホウドリの生息状況調査および繁殖地の維持・保全事業が復活し、
現在でも年数回の上陸調査が実施されている。平成6(1994)年の調査で約159つがいが確認されている。先日その様子を、BS・NHKで放送していた。
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