抜き身の刀がキラリと光って居所がバレた? 延元さま伝説 鵜来島(うぐるしま)
鵜来島は高知県宿毛市の沖合、南西23Kmにある有人島であり、足摺宇和海国立公園に指定されている。
島の最高点は標高252mの竜頭山。周囲は峻険たる断崖絶壁で取り囲まれているが、磯釣りのメッカとして知られている。
太平洋戦争時では軍事的に重要な位置にあったため、その竜頭山には砲台が置かれていた。現在もその名残をとどめている。
それとは別に、鵜来島には宇和島藩350石、高禄の侍の悲恋の伝説が残されている。地元では延元(えんげん)さま伝説と称されており、
今回はそれを紹介しよう。
元禄13年、伊予宇和島藩の若侍・栄玄(延元?)が、家老の娘・了因と恋に落ちた。しかし上下関係が絶対の武士の世界では、それは許されざる恋であった。
2人は手を取り合い、はるかな鵜来島を目指して駆け落ちした。当時、鵜来島は宇和島藩の所領地であり、漁業の基地として重要な役割をもっていた。
純朴な島民ばかりだから若い2人をかくまってくれるだろうと期待して頼んでみたものの、それに反し島民は受け入れてくれなかった。
一緒についてきた娘の乳母も頭をさげるが頑として譲らない。もし役人に露見すればお咎めは必至として、島民はかくまうわけにはいかなかったのだ。
乳母を含めた3人は森の中に身を隠し耐え忍んでいた。不憫がってか、食料を届けてくれる人がおり、なんとか飢えずに済んだ。
それから2、3日経ち、ついに藩の船が港に乗り込んできた。3人の行方を追って、侍たちは島じゅう捜索を開始。
しかしそれも徒労に終わる。茂った木々や起伏に富んだ磯が作り出す死角が若侍たちを救ったにちがいない。
追っ手はあきらめ、他の島を探すことに決め船に乗り、まさに港の鼻を曲がろうとしたとき、対岸の水場で仕事をしていた女が「あっ!」と叫んだ。
若侍が松の木にのぼって船が去っていくのを確認していたのが仇となってしまう。
腰につけていた刀が陽光を反射してキラリと輝き(鞘におさめていればそれはないはずなのに、抜き身のままさげていたのか?)、
それを女が目ざとく見つけたのだ。女は叫んだ。「見つけた! 隠れている侍はあの松の木の上だよ!」
船が取って返し、追っ手が島へなだれ込んでくる。なんとか逃げおおせたと思った安堵から瞬時に絶望に叩き落された若侍。
松の木からおりると、近くの岩場で身を隠していた娘と乳母に言った。
「かたじけぬ、私の失策で彼らが戻ってきた。もはや私たちの命運、進退窮まった。この上においては潔く自害し、いっそあの世で伴侶となろう」
「あなたに従います……」と、娘。「では私もともにお仕えしましょうぞ!」と、乳母もうなずいた。
「許せ了因、せめて苦しまずに殺してやる」若侍は2人の胸を一突きして即死させ、自身も腹をかき切って果てた。
そのまま見逃してやればよかったものを、なまじ密告してしまった女は金一封受けるどころか、家ではあまりにも災難が続いたので、
すわ若侍たちの祟りではないかと恐れ、彼らが死んだ場所に祠を建て『延元さん』として祀り、その魂を供養した。
その子孫は現在まで毎年の祭りを欠かさないという。その祠は港を望む小高い丘に今も佇んでいる。
slow life blueview - sukumo okinoshima island PART.3 宿毛市沖の島の生活
http://www.k5.dion.ne.jp/‾blueview/life4.html
My Fortnight's Dairy 明日より、鵜来島へダイビングに行ってきます
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/st4974/comment/20090423/124... おさるの日本刀豆知識 刀の取り扱いと作法
http://www7b.biglobe.ne.jp/‾osaru/sahou.htm
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