闇に浮かぶ生首
美容室勤めの20歳のA君が突如行方不明になったと、地元新聞が伝えていた。
行方不明になる当日までふつうに職場へ勤務しており、帰宅後、19時すぎに同居している母親に、
コンビニへ買い物に行ってくると告げて外出した。
ところが待てど暮らせど帰ってくる様子がない。
心配した母は、知らない間に帰ってきているかもしれないと思い、A君の部屋を覗いてみることに。
外出するときはいつも持ち歩いているはずの財布とケータイが残されているではないか。
やはり、A君は帰宅していない。
やきもきしながらその夜がすぎ、翌朝になって捜索願が出された。警察は事件・事故の両面を視野に捜査に乗り出した。
ところが、警察・地元消防団の捜索も虚しく、A君は見つからなかった。
3ヶ月の月日が流れた。
A君の家のすぐ近くの裏山で、変わり果てた彼の遺体が発見された。
首吊り自殺をしていたのだ。遺書はなかった。衝動的なものだったのかもしれない。
コンビニに出かけるといったあの日、直後に縊死したのは明白で、それ相応の腐敗が進んでいた。
縊死した場合、肉体の腐乱が進むと、頚椎だけで全体重を支えきれなくなる。
結果、首から下が断裂してしまうパターンがよくある。
まさしくA君もそうだった。
生い茂った林の中、暗闇に腐乱した首だけがロープにつながったまま、プラプラ揺れていたという。
その下にはクタクタになった肉片が山積みになっていた……
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