心霊現象が純粋に超常現象として存在するのかどうかはわかりません。幽霊やお化けは、
一般的に非科学的な現象として扱われています。場や人をわきまえずに、「幽霊が出た」
と取り乱してしまったら、怪訝な顔をされてしまうかもしれません。
幻聴や幻覚など、場合によっては、その人自身のきちんとした治療が望ましい場合もあるでしょう。
ここでは、ひと夏の怖い体験ではすまない、心霊現象に関連する心の病気について解説します。
■心霊現象の大部分は、ただの錯覚?
大人が訴える心霊現象も、実際はこうした錯覚の延長であることが大部分ではないかと
思います。錯覚とは、視覚、聴覚、嗅覚など、体の知覚器官が受けた何らかの刺激を、
脳が別のものと勘違いして認識しまう現象です。
■幽霊が見えた? 心霊現象にも似た幻覚症状
幻覚は錯覚よりも深刻な精神症状です。幻覚には見えないはずのものが見える「幻視」、
聞こえるはずのない声が聞こえてくる「幻聴」などがあります。もしも、お盆の夜に数年
前に亡くなった故人が現われたら……? まさしく故人の霊が現われたことになり、心霊
現象として語られるでしょう。
しかし、こうした心霊現象も精神医学的な解釈は可能です。脳内環境、特に脳内神経伝
達物質のドーパミンの働きに問題が生じたために、知覚に異常が生じ幻を見てしまうわけです。
幻覚は心の病気の代表的症状。統合失調症などでよく見られますが、脳内に腫瘍などの
器質的病変がある場合にも生じます。日常的にも寝入りばなのように、覚醒レベルが低下
しているときには何かの声が聞こえてくることがあります。
■霊に取りつかれた……心霊現象にも似た解離性障害
憑依現象はホラー映画などでもよく描かれます。かわいらしい少女が急に不気味な表情
になり、恐ろしい言葉を口走るようになったら……。「悪霊が取りついた」と表現される
いわゆる憑依現象は、精神医学的には「解離性障害」の範疇に入ります。
憑依現象はまれなことだと思いますが、万が一起きてしまった場合は、すぐに精神科(神経科)へご相談ください。
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