これは20年くらい前に新聞に載った実話。
中年になって結婚し、10数年連れ添った夫が事故死。
夫の死後、妻が知ったことはこれまで夫が話してくれた
職業、経歴、過去などが嘘だったということ。
夫が勤めていたいた会社は実在せず、既に他界したという両親の墓は存在しなかった。
結婚式に出席してくれた僅かな親戚の連絡先も存在しないものだった。
戸籍も名前も本当ではなかった。
夫は何者だったのか?
毎日のようにちゃんと勤めに出、毎月給料を持って帰ってきたが
あのお金はどこから持ってきたものなのか? 悪いことをして得たお金か?
愛する夫の真実を知りたい、まし悪いことをして得たお金ならその罪を自分が償いたい。
そう感じた妻は新聞社に連絡し、夫を知る人がいないか記事で呼びかけて貰うことにした。
新聞には顔写真入りで事のあらましが記された。
数日後、ある中年の女性から、その男性は嘗て私の夫だった人かも知れないと連絡が入る。
その女性の場合も事情は似ていた。彼女は夫の勤める会社が存在しないこと、名前も経歴も
総てが嘘だと言うことに気づき、その事を彼に詰め寄った。
その日のうちに夫は彼女の前から姿を消した。捜索願いを出したが無駄だった。
どうやらその男性は、失踪した後に新聞記事の女性と結婚し、10数年の夫婦生活の後に
事故死したのだった。
男性の正体を明らかにすることの出来なかった新聞社は、警察に協力依頼をしたが
警察は男性の捜索願が他に少なくとも二件出されていること、
左足の薬指と右足の小指に欠損があることを告げた。
それを聞いた新聞社は、これ以上の調査は誰の利益にもならないと納得し、中止した。
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