道端で女の子がひとり楽しそうに飛び跳ねている。
近づいてみると、マンホールの上で「きゅっ♪きゅっ♪きゅっ♪」
と言いながら延々と飛び跳ねている。
無視して通り過ぎようとも思った彼女だったが、ふと疑問が湧いてきた。
『マンホールの上で「きゅっ♪」とか言いながら飛び跳ねる事がそんなに楽しい事なのか?』と。
あまりに無邪気な笑顔の女の子をみて自分もマンホールの上で飛び跳ねてみようと思った。
他のマンホールを探すのも面倒だったので、その女の子を無理矢理どかした。
女の子は彼女のすぐ横でしゃがみこんでいる。女の子の笑顔はすでに消えていた。
彼女は、その女の子の笑顔を奪った事に何の罪悪感も感じていない。あるのは好奇心のみだ。
そして彼女は膝を曲げ、力いっぱいマンホールの上でジャンプしてみた。
身体が宙に浮いた瞬間「きゅっ…」と声を上げ始めたその時。
しゃがみ込んでいた女の子が、人とは思えない恐ろしい程の素早い動きでマンホールの蓋を
こじ開けた。
ジャンプした彼女は地面に足をつけることなく地上から姿を消した。
女の子は素早くマンホールに蓋をして、何事もなかったかのように再び笑顔で飛び跳ねている。
女の子の声が道路上に響き渡る。
「じゅう♪じゅう♪じゅう♪」
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